ポメラニアンの魅力はゴージャスな被毛と丸くて大きな目。華奢な脚でクルクルと動き回る姿は、とても愛らしいですよね。
感受性が豊かなため繊細な一面もありますが、愛情深くて物覚えがいいので、初めて犬を飼う人でも育てやすい犬種です。
ポメラニアンの特徴や飼うときの注意点まで、基本情報をわかりやすくまとめました。
ポメラニアンの身体的特徴
まずは、ポメラニアンの外見的な特徴についてご紹介します。
ポメラニアンのサイズと体重
体高 20cm±2cm
体重サイズに相応しい体重でなければならない。1.8~2.3kgを理想とする。
JKCが掲げるポメラニアンの理想体重は「1.8㎏~2.3㎏」です。たった500gの幅しかないため、基準内におさまるポメラニアンは少ないでしょう。
Wikipediaの記載は「1.9~3.5kg」で、こちらの数字が一般的。「1㎏未満の極小ポメ」から「10㎏を超えるデカポメ」まで、大きさは個性豊かです。
ポメラニアンのスタンダード
次に、ポメラニアンのスタンダードな外貌(理想像)について知っておきましょう。
頭部(ヘッド)
フォクシーな(キツネのような)ヘッドラインで、額はやや前に出ている。
目
やや切れ長のアーモンドアイ。ブラックやブラウンの暗褐色が多い(毛色による)。
鼻
鼻筋が短く、ツンと尖った小さい形。
口(マズル)
長すぎず、先が細く引き締まっている。下顎が薄く、唇はブラック。
尻尾
豊かな毛で覆われ、背部で扇のように広がるエレガントな形。
被毛
綿毛のような「アンダーコート」と艶やかでまっすぐな「オーバーコート」をもつダブルコートが特徴。首、肩、胸に長い飾り毛。
ポメラニアンの毛色の種類
ポメラニアンは他の犬種では考えられないほどカラフルな毛色をもっています。
JKCの公認カラーは「単色のソリッドカラー」から「2色~3色のパーティーカラー」まで合計13色。
パーティーカラーの色の組み合わせを細かく見ていくと、なんと20色を超えます。
毛色豊かなポメラニアンはどのように進化したのでしょうか?次はポメラニアンの歴史について紹介します。
ポメラニアンの歴史
ポメラニアンの原産国は、犬種名の由来になったドイツからポーランドにまたがるポメラニア地方です。
ポメラニアンが現在のように小型化されたのは20世紀以降。意外ですが、もともとはソリをひく大型の作業犬だったようです。
ポメラニアンの先祖はスピッツとサモエド
ポメラニアンのルーツはポメラニア地方に存在した2つの作業犬だと言われています。
- 北方スピッツ系のソリ犬
- サモエドを祖先にもつ羊の番犬
18世紀にやや小型に改良されたポメラニアンはドイツで紹介され、一気に人気犬種になりました。
人気のきっかけはビクトリア女王
人気に火が付いたきっかけは、ドイツのビクトリア女王(1819~1901年)がこよなくポメラニアンを愛したことでした。
女王が育てたポメラニアンはドッグショーにも出場し、優勝を獲得。82歳で亡くなる当日まで慈しんでいたそうです。
昔のポメラニアンはクリームやブラック、ホワイト、オレンジが主流で、徐々に毛色の種類が増えていきました。
日本にポメラニアンが入ってきたのは1960年代からですが、イギリスのハドレー犬舎を受け継いだことで、日本のレベルはトップクラスになりました。
歴史の次は、日本で活躍するポメラニアンの有名犬舎について見ていきましょう。
ポメラニアンの血統と価格
ポメラニアンの有名な血統は3つあります。
- ハドレー
- チャオリア(チャオリヤ・シャオリア)
- スターライト
毛色、顔立ちなど、それぞれの特徴を見ていきましょう。
イギリスの「ハドレー」
ハドレーはイギリスから日本に譲渡された有名な犬舎です。
毛色はオレンジやレッド、ウルフセーブルが多く、アーモンドアイと短いマズル、華奢な四肢が特徴。
子犬のころは目がつぶらで小さいですが、年齢を重ねるにつれて大きくなっていきます。
台湾の「チャオリア(チャオリヤ)」
チャオリアは台湾の有名な犬舎。純白で美しい被毛が日本や韓国でも大人気です。
チャオリアはハドレーに比べて骨量が多く、子犬のころから目が丸くて大きいのが特徴です。
タイの「スターライト」
まだ情報が少ないのですが、タイの有名犬舎「スターライト」という血統が日本のドッグショーで活躍するようになりました。
スターライトのブリーダーさんは和歌山にいらっしゃるとのこと。シナモンちゃんをご覧いただくとわかるように、スターライトはハドレー同様、小柄で胴が短く、詰まったマズルが特徴です。
ハドレー、チャオリア、そしてスターライト。日本のポメラニアンのレベルは飛躍的に上がっています。
ポメラニアンの値段
- ハドレー、チャオリア、スターライト系は高額
- 血統、月齢、毛色によって変わる
- 地域差もある
- 良識のあるブリーダーを探す
ペットショップで購入する場合、ポメラニアンの値段は地域によって差があり、特に都心部のペットショップで高い傾向があります。
価格の平均は10~20万円前後ですが、ドッグショーでチャンピオンのタイトルを獲得したポメラニアンの直子は高額。東京では50万以上、100万円以上で販売されている子犬も見かけます。
ペットショップで販売されていることは稀ですが、血統書名に「Hadleigh(ハドレー)」「Chiaoliya(チャオリア)」の記載があるポメラニアンはさらに高額です。
おすすめなのは、良識あるブリーダーから直接購入すること。中間マージンが入らない分、価格が抑えられるケースが多いです。
親犬の性格やサイズが確認でき、飼育に関する的確なアドバイスが得られるというメリットもありますし、兄弟犬と交流できる可能性もあります。
里親、保護犬もぜひ候補に
やむを得ない事情で飼えなくなり、里親を探している人がいます。
遺棄や繁殖引退、ブリーダー崩壊によって保護されたポメラニアンがいます。
保護犬は高齢で持病があるケースも多く、引き取って育てるのはとても大変なことですが、ぜひ里親募集サイトもご覧ください。
このあと紹介しますが、ポメラニアンは愛情深く、飼いやすいと言われている犬種です。
子犬であれ、保護犬であれ、旅立つその瞬間まで愛し抜く覚悟で迎えてあげてください。
ポメラニアンの性格と飼いやすさ
愛情深さ | ★★★★★ |
頭のよさ | ★★★★☆ |
躾のしやすさ | ★★★★☆ |
運動量 | ★★★☆☆ |
身体の丈夫さ | ★★★☆☆ |
抜け毛の多さ | ★☆☆☆☆ |
体臭 | ★★★★☆ |
ポメラニアンの性格
ポメラニアンは常に注意深く、活発で主人に対して格別な忠誠心をもつ。大変物覚えが良いので訓練しやすい。臆病でも攻撃的でもない。
ポメラニアンの性格: 聡明、 社交的、 外向的、 活動的、 遊び好き、 友好的
ポメラニアンは愛玩犬に分類される犬種で、JKCには「番犬及び家庭犬」と記載されています。
社交的で明るく、しつけがしやすいので、初めて犬を飼う人にも向いています。
スピッツの血をひいているため、キャンキャンと吠えるうるさいイメージがありますが、実際はおっとり静かなポメラニアンも多いです。
「性格は母犬に似る」という説もありますし、生まれもった気性に加え、育て方も大きく影響します。
多頭飼いの場合は、先住犬の性格に左右されるケースも見られます。
ポメラニアンのカットとお手入れ
柴犬カットにたぬきカット、テディベアカットなど、ポメラニアンはカット次第でいろんな表情やファッションが楽しめる犬種です。
ただし、脱毛症(アロペシアX)になりやすい犬種でもあるので、バリカンを入れるようなカットは控えましょう。
ポメラニアンは抜け毛が多く、年に2回は換毛期があります。
写真をご覧いただくとわかるように、換毛期は驚くほど大量の毛が抜けます。マット状の毛玉ができないよう、アンダーコートは念入りにブラッシングしてあげてください。
ピョコピョコとよく動く耳の後ろは特に毛玉ができやすいため、まめにブラッシングしましょう。
ポメラニアンは体臭が少ない犬種です。皮膚炎など特別な場合を除き、シャンプーは1か月に1回、多くても2回で充分です。
ポメラニアンの成長(子犬~シニア)
「犬は安産」と思われがちですが、ポメラニアンは難産になることが多く、繁殖が難しい犬種。産まれる数は平均2~3匹です。
動画はマロンちゃん(パーティーカラー/ブラック&ホワイト)の子育ての様子です。子犬が力いっぱいお乳を吸う姿に生命の力強さを感じます。
生後2ヵ月~3ヵ月
子犬は生後60日ごろまで母犬と兄妹犬と過ごし、ワクチン接種を終えてから新しい家族に迎えられます。
ポメラニアンは骨格が華奢で四肢が細いため、動きが活発な子犬期は骨折に気をつけてください。
子犬は歯がむずがゆくて何でも口に入れてしまうので、誤飲誤食も多いです。
床に置くもの(コンセント・観葉植物・ひも)、犬が食べて害があるもの(玉ねぎ・チョコレート・キシリトール・ぶどう)には充分注意しましょう。
ポメラニアンに特徴的な猿期
顔の毛が大人の毛に生え変わる際の容貌が猿に似ていることから、一般的に「猿期」と呼ばれています。
わかりやすい猿期の写真を提供してくれたのはラテくん。かわいいお猿から美しいポメラニアンに成長した様子がよくわかります。
生後6ヵ月~成犬期
ポメラニアンは生後半年で体つきがほぼ成犬に近づきます。精神的にしっかり成長を遂げるのは、生後2年だと言われています。
女の子の場合、生後8~10ヵ月で初めての発情期を迎えます。
その後は年に約2回の間隔で発情期が訪れますが、人間と違って閉経がないため、寿命を迎えるまで続きます。
将来の病気予防(子宮蓄膿症・乳腺腫・前立腺腫瘍など)のため、避妊、去勢手術を受けることも考えましょう。
7歳~シニア期
7歳からはシニアの仲間入り。特に10歳以降は動きがゆっくりになって、寝ている時間が増えます。
2歳と12歳の写真を見比べてもわかるように、毛色が薄くなりますし、病気も増え始めます。
ポメラニアンがかかりやすい病気についてはこのあと紹介しますが、特に心臓病、気管虚脱、内分泌疾患が多いです。
「咳や脱毛、異常な食欲や飲水量、お散歩に行きたがらない」など、ちょっとした変化を見逃さないよう注意しましょう。
ポメラニアンがかかりやすい病気と寿命
さきほどお伝えしたように、ポメラニアンには注意すべき病気がいくつかあります。
注意すべきポメラニアンの病気
- 心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)
- 気管虚脱
- 停留睾丸
- クッシング症候群
- アロペシアX(ポメはげ・脱毛症)
- 椎間板ヘルニア
- 胆泥症
- 急性膵炎
- 水頭症・癲癇
- 股関節脱臼・膝蓋骨脱臼
- 骨折
命に関わる病気として特に注意したいのは、循環器疾患(特に僧帽弁閉鎖不全症)です。
獣医学の進歩で手術も可能になりましたが、想像を超える治療費(150万~250万)のため、クラウドファンディングを活用する飼い主さんもいます。
可能であればペット保険に加入し、病気の予防と早期発見に努めましょう。
脱毛症アロペシアX(ポメはげ)
顔と四肢以外の毛が抜けてしまう謎の脱毛症が「アロペシアX」。ポメラニアンに多く見られるため、通称「ポメはげ」とも呼ばれています。
脱毛は内ももやお尻、喉もとから始まり、徐々に全身に及びます。脱毛以外に症状はありません。
甲状腺ホルモンや性ホルモン、成長ホルモンなどのホルモン異常が大きな原因ですが、末梢血管の血流不全、コラーゲン異常によっても引き起こされることがわかってきました。
アンチノール(脂肪酸サプリメント)やアルギチャンプ(海藻サプリメント)を飲ませたり、ホルモン剤などの投薬治療で発毛するケースもあります。
口臭と歯周病
小型犬全般に言えることですが、ポメラニアンは歯が弱く、歯周病になりやすいです。
歯周病菌は腫れた歯肉から血管内に侵入して体中をめぐり、全身病の原因になります。顎の骨を溶かしてしまうケースもありますし、歯が抜けると顔の容貌も変化してしまいます。
「いやがるから」という理由で歯石、歯周病を放置すると、シニアになったときに必ず後悔します。
歯磨きのやり方は動物病院でも指導してもらえます。子犬のころから歯磨きに慣れさせ、口の中から体全体の健康を保ってあげましょう。
ポメラニアンの寿命
ポメラニアンの平均寿命は「平均13.6歳」というデータが出ています(ペット保険アニコム2019年の調査)。
犬の時間は人間の5倍のスピードで進んでいます。
もともとの体質もありますが、長生きできるかどうかは食事の内容と生活環境が大きく影響します。
「何を食べさせるか?」も大切なことですが「何を食べさせないか?」も重要な点です。
- 質の悪いドッグフード
- 添加物が多いオヤツ
- 脂質とカロリーが高すぎる食べ物
胃腸の負担になるもの、肥満の原因になるものは避けましょう。
日々スキンシップをとりながら体の変化をチェックし、運命の伴侶に長生きしてもらえるよう、体調管理に努めてください。
私と一緒に充実したポメラニアンライフを送りましょう!
ポメラニアンあるある
耳毛チリチリにマッチョ、そして湿気ボンバー。ポメラニアンには犬種特有の特徴がいっぱいあります。
フォロワーさんから集めた「ポメラニアンあるある」を見て、ぜひ一緒に笑ってください。
ポメラニアンを飼っている有名人
最後に、ポメラニアンを飼っている著名人を調べてみました。
梅宮アンナさん
品川祐さん
参考書籍とサイト
ポメラニアンの飼い方(成美堂出版)
楽しいポメラニアンライフ(愛犬の友編集部)
参考サイト(海外)
Pettopi
The Spruce Pets